ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

42 442 薬 局 2018 Vol.69, No.3はじめにキノロン系抗菌薬はβ-ラクタム系抗菌薬以外の抗菌薬では最もアレルギーの頻度が高い抗菌薬である1).アレルギーのタイプとしては即時型と遅発型のいずれも報告されており,そのほかまれな過敏症として固定薬疹,薬剤熱,血管炎,血清病様反応,薬剤性過敏症症候群,スティーブンス・ジョンソン症候群,中毒性表皮壊死症が報告されている.アレルギーの評価は病歴や身体所見を慎重に聴取し,最も可能性が高い過敏反応のタイプを評価することから始まる.患者にとっては副作用をその詳細まで長期に記憶することは容易ではない.そのため,消化器症状や腱障害,横紋筋融解症,中枢神経障害といったキノロン系薬のアレルギーではない副反応であっても患者自身はアレルギーと誤認していることがある.患者インタビューで聴取したアレルギー歴をカルテなどに記録する際には,アレルギーとしての真偽を検証する必要がある.その結果,キノロン系薬のアレルギーが疑われるときは(特に生命にかかわるような重篤なアレルギー,あるいはアナフィラキシー型のアレルギーの場合は),まずは代替薬での治療を検討する.アレルギーの既往があるにもかかわらず将来的にキノロン系薬を必要とする可能性が高い場合は感染症もしくはアレルギーの専門家による評価が望ましい.本稿では,まずキノロン系薬が第一選択となる場面と過敏症などでキノロン系薬が使用できない場合の代替薬を概説する.次にキノキノロン系抗菌薬キノロン系抗菌薬はβ-ラクタム系抗菌薬以外の抗菌薬では最もアレルギーの頻度が高く,即時型と遅発型共に典型症状を認識しておく.患者は副作用についてアレルギー性と非アレルギー性を混同するため,アレルギー歴の聴取は症状や時間経過を詳細に行う.キノロン系抗菌薬の抗菌スペクトルは世代ごとに整理し,感染症に応じて合理的に使い分ける(第四世代キノロンの汎用に注意).キノロン系抗菌薬のアレルギーは皮膚試験が陰性であっても,アレルギーを否定してはいけない.被疑薬となった薬剤の投与を回避できなければ,適切に皮膚試験,負荷試験,脱感作を考慮し,リスクを最小限にして投与する.■ 第一選択薬に過敏症歴あり! そのとき薬物治療はどう行うか?! ?? ?浦上 宗治1*) 青木 洋介1**, 2)1) 佐賀大学医学部附属病院 感染制御部 *病院助教 **部長2) 佐賀大学医学部 国際医療学講座臨床感染症学分野 教授