ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

48 448 薬 局 2018 Vol.69, No.3第一選択薬となる疾患マクロライド系抗菌薬(以下,マクロライド)は微生物の50Sリボソームサブユニットに結合し,タンパク合成を阻害することで作用する抗菌薬である.アルカリ環境では効果が増し,酸性環境では効果が減弱する.マクロライドにはいくつかの種類が存在し,代表的な薬剤としては,エリスロマイシン,クラリスロマイシン,アジスロマイシンの3種があり,本稿ではこの3種について記載する.マクロライドの抗菌薬としての特徴は,微生物に対し広いスペクトルで効果があることである.β-ラクタム系抗菌薬(ペニシリン系,セファロスポリン系)が無効な微生物に対して有効な場合もあり,そのような疾患にはマクロライドが第一選択薬となる.また,β-ラクタム系抗菌薬にアレルギーがある場合にも代替薬として用いられる.第一選択薬となる病原体は以下のような疾患がある.・エリスロマイシン:Bartonella henselae(猫ひっかき病),Bordetella pertussis(百日咳),Campylobacter jejuni(カンピロバクター腸炎),Chlamydophila pneumoniae(クラミジア肺炎),Corynebacteriumdiphtheriae(ジフテリア),Mycoplasmapneumoniae(マイコプラズマ肺炎)・クラリスロマイシン:B. pertussis(百日咳),C. pneumoniae(クラミジア肺炎),M. pneumoniae(マイコプラズマ肺炎),Helicobacter pylori(ヘリコバクター・マクロライド系抗菌薬マクロライド系抗菌薬はタンパク合成を阻害することで作用する抗菌薬であり,特徴的な抗菌スペクトルで第一選択薬となる機会も多い.β-ラクタム系抗菌薬で過敏症がある場合に代替薬として用いられる.マクロライド系抗菌薬自体は過敏症の報告は抗菌薬の中では比較的少ない薬剤である.即時型アレルギーの診断に皮内反応を用いた報告はあるが,一般化はされていない.過敏症がある場合の別のマクロライド系抗菌薬への変更は問題がないことが多いが,他の系統の薬剤を用いる方が安全である.■ 第一選択薬に過敏症歴あり! そのとき薬物治療はどう行うか?! ?? ?岩渕 千太郎東京都立墨東病院 感染症科 医長