ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

52 452 薬 局 2018 Vol.69, No.3はじめにグリコペプチド系抗菌薬は,細菌の細胞壁合成を阻害し,抗菌作用を発揮する薬剤である.細胞壁を構成するタンパク質にペプチドグリカンがあるが,本剤はペプチドグリカン前駆体に結合し,細胞壁合成を阻害する.医療用として使用されるグリコペプチド系抗菌薬には,バンコマイシンとテイコプラニンがある.またバンコマイシンには,点滴静注用と経口の2種類の製剤がある.経口投与のバンコマイシンは,注射剤と特性が大きく異なるため,本稿では注射剤のみに焦点をあてて概説する.第一選択となる疾患グリコペプチド系抗菌薬は,グラム陽性菌に対して抗菌活性を有している.したがって,理論的にはグラム陽性菌による感染症全般に対して有効であると考えられる.ただし,グリコペプチド系抗菌薬が保険適用されるのは,限られた菌種のみであるので,注意が必要である.点滴静注用のバンコマイシンが保険適用されるのは,①バンコマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)②バンコマイシンに感性のメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)③バンコマイシンに感性のペニシリン耐性グリコペプチド系抗菌薬グリコペプチド系抗菌薬は,主としてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の治療薬として使用される.グリコペプチド系抗菌薬の副作用として,アレルギー反応・過敏症と腎機能障害が特に問題となる.グリコペプチド系抗菌薬点滴静注後に,ヒスタミンが直接遊離されることにより,レッドマン症候群が発症することがある.アレルギー反応や過敏症によりグリコペプチド系抗菌薬が使用できない場合は,第一にはダプトマイシンやリネゾリドを使用する.バンコマイシンの減感作療法には,rapid desensitization(急速減感作療法)とslow desensitization(緩徐減感作療法)がある.■ 第一選択薬に過敏症歴あり! そのとき薬物治療はどう行うか?! ?? ?太田 康男帝京大学医学部 内科学講座感染症内科 教授