ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

84 484 薬 局 2018 Vol.69, No.3はじめに『医薬品・医療機器等安全性情報』No.290(2012年4月)によると,重症薬疹は約2年半で1,505例(この期間に報告された全副作用報告数82,261例の1.8%)の報告があり,そのうち抗てんかん薬が257例を占め,ラモトリギン101例,カルバマゼピン86例で,抗てんかん薬は重症薬疹が多い薬剤である.重症薬疹報告例の予後は未回復が48例(3.2%),後遺症ありが31例(2.1%),死亡が131例(8.7%),転帰不明等が438例(29.1%)と重症薬疹の予後は不良である.抗てんかん薬治療では重症薬疹に注意した薬剤選択,開始量,増量計画が必要である.抗てんかん薬の副作用抗てんかん薬の副作用を大きく分けると,特異体質によるものと,薬理作用に関連して起こるもの,発作頻度変化に伴う生物学的変化によるものがある(表1)1).抗てんかん薬に共通する重大副作用としては重症薬疹,造血機能障害があり,そのほかには,眠気,ふらつき,めまいなどの精神神経系副作用が多い2).重症薬疹の薬疹病型にはスティーブンス・ジョンソン症候群型薬疹(SJS),中毒性表皮壊死症型薬疹(TEN),ヒト6型ヘルペスウイルス(HHV―6)の再活性化が関与する薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivitysyndrome : DIHS)などが知られている3).抗てんかん薬抗てんかん薬は薬疹,重症薬疹が出現しやすい薬剤である.重症薬疹が起こりやすいと思われる薬剤には,ラモトリギン,フェニトイン,カルバマゼピンがある.脳炎・脳症後てんかん患者では23.9%に薬疹が出現し,薬疹が多い.カルバマゼピンによる薬疹ではHLA―B*15 : 02(漢民族),HLA―A*31: 01(日本人)との関連が報告されている.フェニトインによる薬疹ではCYP2C9*3などの代謝が遅い素因との関連が報告されている.■ 第一選択薬に過敏症歴あり! そのとき薬物治療はどう行うか?! ?? 10高橋 幸利1*, 2, 3) 森岡 景子1) 大松 泰生1) 小池 敬義1) 山口 解冬1) 北原 光1) 長瀬 朋子1)1) 国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター *副院長2) 岐阜大学 小児病態学 3) 静岡県立大学 薬学部