ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

90 490 薬 局 2018 Vol.69, No.3はじめに分子標的薬での薬剤過敏症では,infusionreaction(輸注反応)がよく知られている.Infusion reactionは全身がん化学療法,特に抗体薬の投与中または投与開始後24時間以内に多く発現する急性期の過敏症反応の総称である.Infusion reactionの発生機序は,アナフィラキシーなどのアレルギー反応と異なると考えられているが,両者の機序は一部重なり,症状も類似している.本稿では,infusion reactionのほかに,アナフィラキシー,分子標的薬で起こる重篤な過敏症である薬剤性肺臓炎,薬剤によっては頻度が高い皮膚障害,忘れがちな眼障害について述べる.支持療法を用いつつその薬剤を使用するか,使用しないかという判断は,その薬剤の予想されうるリスクとベネフィットを天秤にして考えるわけであるが,がん薬物療法ではその縦軸に加え,治療目的が治癒なのか,生存期間延長なのか,症状緩和やQOL向上なのかといった横軸も含めて判断を決めていくこととなるだろう.患者の想いと医療者の想いまず,昨今の医療業界ではよく耳にするインフォームド・コンセントは,基本的なことではあるが,重要なことであり再確認したいと思う.医療者は特に多忙な時,患者や家族に対する好奇心を失い,職務を最低限全うすることに手いっぱいになりがちである.患者や家族の想いに傾聴できなければ,その想いを汲みとることができず,重要なときに意思疎通が図れないこととなる.何に困っているのか,何を重要視しているのかを捉えることができなければ,医療者側からは説明したつもりになっているが,相手に伝わらない一方通行な説明になってしまうだろう.例えば,薬剤にメリット・デメリットがあることは,分子標的薬基本的なことではあるが,患者の想いや希望と医療者の思惑が離れていないか,インフォームド・コンセントでは内容とその行間のニュアンスも説明できているかが重要である.分子標的薬によるinfusion reactionの注意すべきタイミングとその対処法を理解する.分子標的薬による薬剤性肺臓炎では休薬が多く,皮膚障害では継続が多い.■ 第一選択薬に過敏症歴あり! そのとき薬物治療はどう行うか?! ?? 11樋口 雅樹 須藤 一起国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科