ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

96 496 薬 局 2018 Vol.69, No.3はじめに白金製剤はがん細胞のDNA塩基に結合して細胞分裂を阻害し,がん細胞の増殖を抑制することにより抗腫瘍効果を示す.代表的な薬剤として,シスプラチン,カルボプラチン,オキサリプラチンがある.シスプラチンは第一世代の白金製剤であり,多くのがん種に用いられる.しかし,嘔気や嘔吐などの消化器毒性や腎毒性のため,肺癌では6サイクル以下で終了することが勧められている.カルボプラチンは第二世代の白金製剤であり,腎機能に応じて投与され,大量の輸液を必要とせず,外来での投与が可能である.シスプラチン同様に多くのがんで用いられるが,特に卵巣癌では,初回治療として使用するのはもちろん,初回化学療法終了後から再発までの期間が6ヵ月以上の場合はカルボプラチンを含む化学療法の再投与が良好な効果をもたらし,日常臨床で多用されている.オキサリプラチンは第三世代の白金製剤であり,消化器癌を中心に毒性による中止または増悪まで継続投与が行われる.主な副作用として末梢神経障害があり,しばしば投与中止を余儀なくされる.上記のように白金製剤には副作用はあるものの,他の薬剤との併用療法による高い抗腫瘍効果によって,現在広く悪性腫瘍に用いられている.しかし,白金製剤は投与回数の増加とともに,過敏反応( hypersensitivity reaction :HSR)も増加するため,対応策が求められるようになった.本稿では,白金製剤によるHSRについて,注意点,発生時の対応,脱感作療法について述べていく.白金製剤によるHSR白金製剤によるHSRの機序は明確にはわかってないが,おおむねⅠ型のアレルギー反白金製剤白金製剤による過敏反応(hypersensitivity reaction : HSR)は,投与回数の増加とともに発生頻度も増加する.HSR発生後の白金製剤再投与の方法の一つとして脱感作療法がある.適切に脱感作療法を行うことで,HSR発生後も注意深い観察のもと,白金製剤の継続投与が可能である.■ 第一選択薬に過敏症歴あり! そのとき薬物治療はどう行うか?! ?? 12柳田 佳嗣 宮本 信吾日本赤十字社医療センター 化学療法科