ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

8 408 薬 局 2018 Vol.69, No.3薬剤過敏症の診断(図1, 2)薬剤過敏症は薬剤副作用の一部である(図1).また薬剤過敏症もⅠ型~Ⅳ型のアレルギーに分類されるものと,類似の臨床症状であるが異なる作用機序のものに分けられる(図2).β-ラクタム系抗菌薬を投与し数分以内に発症したアナフィラキシーなどにおいては薬剤過敏症の診断および原因薬剤の特定は明らかであるが,その他の多くの場合は患者の症状が薬剤過敏症によるものであると確定すること,およびその原因薬剤を特定することは必ずしも容易ではない.これは皮膚炎などの薬剤過敏症と同様の症状が薬剤以外の原因でも起こりうること,Ⅰ型以外の過敏症反応においては薬剤投与から数日もしくは血清病様反応などにおいては数週間も経てから発症することが多いこと,患者が多くの薬剤を一度に服用していることが多く,また多くの薬剤が同じ症状を引き起こすことなどによる.まず薬剤過敏症の診断に必要な手順について述べる.薬剤過敏症と考えられる症状に関する病歴例えば薬疹であれば,①最初に皮疹が気づかれた日時② 確実にその皮疹が存在しなかったとわかっている最後の日時③ 皮疹が増悪または軽快傾向を示していれば,最初に気づいてからいつまでが増悪していたか,またいつから軽快してきたか④ 薬疹の形態的特徴として播種状紅斑丘疹様発疹(morbilliform drug eruption),蕁麻疹,スティーブンス・ジョンソン症候群,固定薬疹,発疹性膿疱,扁平苔癬薬剤過敏症歴がある患者への問診と診察!何を確認してどう評価するか?!薬剤過敏症の診断には,詳細な服薬歴の聴取が重要である.Ⅰ型と非Ⅰ型の反応では発症様式が大きく異なる.薬剤リンパ球刺激試験(DLST),皮膚検査も参考となるが,あくまで病歴と診察から疑われた場合のみ行うことが原則である.再投与や減感作はそれ自体で重篤な反応を誘発しうるので,患者の理解を確認し,慎重に行う.岡田 正人聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center センター長