ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

14 414 薬 局 2018 Vol.69, No.3はじめに薬を内服しているうちに体調が崩れやすくなったとか,体のどこかが痒く(または痛く)なってきたという理由で,薬が原因のはずと患者が思ってしまうことはよくあり,医療者がしばしば同意を求められることがある.このような場合に,病院ではどのような検査が実際に行われているのか概略を知っておくとよい.薬剤のアレルギー検査は,アレルギー専門施設の一部で,必要症例に限定して施行されている.危険がある薬剤そのものを用いて負荷投与試験を行う施設はさらに少数である.危険性と必要性を天秤にかけつつ検査を立案するための全国的なガイドラインは存在せず,患者ごとに対応を決めているのが現実である.薬剤アレルギーの検査を立案するには,詳細な問診で得られる情報と自分(医療者)の知識や経験と過去の報告を突き合わせる必要がある.重要なのは,薬剤アレルギーの確実度,病型と誘発されうる症状の危険度,患者の要望,医師と患者の受け入れ度の4点である.検査を立案するにあたって薬剤アレルギーの確実度を推定する際は,確実あるいはほぼ確実,否定的,どちらでもない(疑いがある),に大別する.問診が最も重要であるが,それだけでは判断がつかないこともあり,例えば,食後にかぜ薬を内服したところ蕁麻疹が生じたという場合には,食事内容も詳しく尋ねた上で血液検査(特異的IgE測定)を行い,食物アレルギーについて薬剤アレルギー検査はこう考える!得られる情報とその限界問診による病歴聴取で確実に薬剤アレルギーとわかることもあるが,薬剤との関連が明瞭でないことも多い.血液検査は限定的かつ補助的な位置づけであり,病歴と照合して原因薬絞り込みの参考に用いる.即時型反応に関して即時型皮膚反応検査は有用である.プリックテストよりも皮内テストの方が感度が高いが,全身アレルギー症状を起こす危険もあり慎重に行う.再投与試験は危険があるが信頼性が高い.少量から開始し徐々に増量してアレルギー症状の誘発の有無をみる.山口 正雄帝京大学医学部 内科学講座呼吸器・アレルギー学 教授