ブックタイトル薬局 69巻 4月号

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概要

薬局 69巻 4月号

薬 局 2018 Vol.69, No.5 2231 29心房細動心房細動の治療は多岐にわたるが,通常,①リスク因子の管理,②抗凝固療法,③症状緩和の3つのカテゴリーが考えられる.カテゴリーごとに経済的負担軽減を主眼とした方策について述べる.1 リスク因子の管理心房細動そのものを抑制すること――長期的視点に立てば,このことこそ経済的負担の根本的軽減法とも言える.そのためには心房細動がさまざまなリスク因子から成立することを理解する必要がある.遺伝的素因,加齢,高血圧,糖尿病,心不全,環境ストレスなどだが,これらはカテコールアミンやサイトカインなどの神経内分泌因子を介して心房筋のリモデリングに関与すると考えられている.これらの因子抑制はアップストリーム治療と呼ばれ,これまでレニン―アンジオテンシン系(RAS)阻害薬,スタチン,オメガ3脂肪酸などにおいて介入試験が行われたが,いずれも明らかな抑制効果は示されなかった.しかし,最近発表されたRACE3試験1)では,こうした因子を複合的に標的にすることが洞調律維持に寄与する可能性が指摘されている.同試験は軽度から中等度の心不全を合併した発症早期の持続性心房細動を対象とし,アルドステロン阻害薬,スタチン,RAS阻害薬,運動やダイエットを中心とした非薬物療法の4項目を行う介入群と,従来治療群とで1年間の洞調律維持率を比較したものである.その結果,従来治療群の63%に比べて介入群は75%と有意に介入群において洞調律維持率が高かった(オッズ比:1.765[95%CI下限:1.021]).この介入には目標血圧120/80mmHg,服薬ア不整脈心房細動の場合,まず高血圧,生活習慣などのリスク因子を是正することを考える.抗凝固薬においてコストに対する患者の価値観は,エビデンスより優先される.ワルファリン内服下でPT―INRの管理が良好な場合は,NOACよりワルファリンを優先させる.心房細動の症状緩和は,レートコントロールを第一選択とする.心房および心室期外収縮の場合,抗不安薬やβ遮断薬を優先して投与する.■ 診療のプロが考える経済的負担を減らすための選択肢?? ?小田倉 弘典土橋内科医院 院長Feature | 所得格差時代の薬物治療