ブックタイトル薬局 69巻 4月号

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概要

薬局 69巻 4月号

36 2238 薬 局 2018 Vol.69, No.5経済的な事情から医療費をなるべく抑えたい場合糖尿病の分野でも新薬がたくさん出ているが,新薬は高価である.医療費が高いことを苦にしていても,主治医にはあまり言えず,事務や他の医療スタッフに話す場合もある.われわれは,エビデンスだけでなく,安全性を重視し,さらには患者の経済的な事情も考慮した適切な薬剤を選択することが重要である.本稿では,エビデンスと共に,安全性および経済的な事情も考慮した薬剤選択について概説する.ただし,重要なポイントとして,スルホニル尿素(SU)薬は経済的には最も優れているが,遷延性低血糖の危険があり,体重増加も来すので,経済的な理由だけでSU薬を第一選択薬として使用すべきではない1).1 メトホルミンメトホルミンは安価で,禁忌にさえ使用しなければ安全性も高い薬であるので,日本人でも第一選択薬として使用する.メトホルミンには心血管イベントを有意に減らすエビデンスがある.「それは米国や英国でのエビデンスだ」「日本人は高度肥満でないから適用できない」という人もまだ一部いるが,同じアジア人である中国人も含む研究でのエビデンスもあるので,日本人にも適用できる2).そのほかにも,体重を増やさないこと,単独では低血糖リスクがないこと,食欲抑制作糖尿病エビデンスだけでなく,安全性を重視し,さらには患者の経済的な事情も考慮した適切な薬剤選択が重要である.スルホニル尿素(SU)薬は経済的には最も優れているが,遷延性低血糖の危険があり,また体重増加も来すので,経済的な理由だけでSU薬を第一選択薬として使用すべきではない.メトホルミンは安価で,禁忌にさえ使用しなければ安全性も高い薬であるので,日本人でも第一選択薬として使用する.メトホルミンが禁忌の場合は,DPP―4阻害薬またはα-グルコシダーゼ阻害薬を第二選択薬として使用する.高齢者では,血糖コントロールの目標値を年齢,ADL,認知機能などに応じて個別に,緩やかに設定すること,目標HbA1cに下限を設けること,が重要である.■ 診療のプロが考える経済的負担を減らすための選択肢?? ?岩岡 秀明船橋市立医療センター 代謝内科 部長