ブックタイトル薬局 69巻 4月号

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概要

薬局 69巻 4月号

薬 局 2018 Vol.69, No.5 2269 67はじめに気管支喘息(以下,喘息)は呼吸器内科において最もよく遭遇する疾患の一つである.1日外来をやっていて,喘息の患者を診なかった日はこれまで一度もない.さて,私たち呼吸器内科医は,喘息を診療する上でコストを意識することがある.それは吸入薬の処方,そして抗体医薬品の処方の2場面に大別される.以下,その2つを分けて論じてみたいと思う.喘息に対する吸入薬喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)には多種多様な吸入薬が用いられる.その数は20以上にのぼる.また,それぞれの疾患で使用する吸入薬がオーバーラップすることもよくあるため,呼吸器専門医以外にとっては到底理解しにくい薬剤と言える.喘息診療では,一昔前ならばフルチカゾンプロピオン酸エステル(フルタイドR)がシェアを占めていたが,現在よく耳にするのは合剤であるフルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール(アドエアR)やブデソニド/ホルモテロール(シムビコートR)ではないだろうか.時代とともに人気の吸入薬は移り変わっていくのである.さて,今回のテーマであるコストの面から論じてみたい.どれを使ってもコストにそれほどの差はないと思っている読者が多いかもしれないが,実は製剤によってかなり差が出る.喘息に対する吸入薬のうち,本稿では,吸入ステロイド(ICS),吸入ステロイド/長時間作用性β2刺激薬合剤(ICS/LABA)の2種類紹介する.近年,ガイドラインの変更によって長時間作用性抗コリン薬(LAMA)も喘息に使用される機会が増えたのだが,COPD治療とオーバーラップして議論が複雑になってしまうので,ICSとICS/LABAに限定させていただく.ある喘息患者を想定してみよう.長時間続く喘鳴と咳嗽を訴え軽度の発作で歩いて受診し,治療ステップ2の導入が必要になった.気管支喘息喘息に用いられる吸入薬の1ヵ月あたりの薬価のおおよそを知っておく.吸入薬の中ではシムビコートRが最も高いが,SMART療法という恩恵がある.抗体医薬品は,薬価が高いため現実的に手が出しにくい薬剤である.■ 診療のプロが考える経済的負担を減らすための選択肢?? ?倉原 優国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター 内科Feature | 所得格差時代の薬物治療