ブックタイトル薬局 69巻 4月号

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概要

薬局 69巻 4月号

72 2274 薬 局 2018 Vol.69, No.5はじめに骨粗鬆症とは,「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大し,骨折の危険性が増大する疾患」である.その診断は,脆弱性骨折と呼ばれる軽微な外力によって起こった骨折がある患者,脆弱性骨折がなくとも骨密度が若年成人平均値(YAM)の70%以下または-2.5SD以下の患者に対してなされる.現時点では日本人の約1,300万人が罹患しているとされており1),高齢者では最も頻度の高い疾患の一つである.骨粗鬆症を原因とする骨折は大腿骨近位部骨折と椎体骨折が代表的だが,その中でも特に大腿骨近位部骨折は高齢者のADLを著しく低下させる代表的な疾患であり,これを防ぐことが骨粗鬆症治療の主な目標である.2015年に発行された日本の骨粗鬆症の診療ガイドライン(JOS2015)1)では,骨粗鬆症の一般的な薬物治療の適応は,骨粗鬆症と診断された患者と骨粗鬆症とまで診断されなくとも骨密度がYAM80%未満の患者,大腿骨近位部骨折の家族歴がある患者とされている.しかし,薬物療法の推奨は具体性に乏しく,どの薬剤を選択すればよいかはわかりづらい.また,薬剤のコストに関してはほとんど触れられていない.そのため,骨粗鬆症と診断されたと同時に高価な薬剤が処方されてしまうことも多い.本稿では経済的負担を抑えることも意識しながら,骨粗鬆症のエビデンスを踏まえた質の高いマネジメントを提案したい.骨粗鬆症骨粗鬆症のような慢性疾患の場合には治療期間が長期に及ぶため,薬剤にかかる経済的な負担が日常生活に重くのしかかる.薬物療法以外のアプローチを検討する(栄養素を食事で補う,転倒予防に注力する).治療閾値を上げる(診療ガイドラインの治療適応を盲信するのではなく,骨折の二次予防に絞る).安価な薬剤を使う(カルシウム,ビタミンD,ビスホスホネート製剤をメインに使用する).■ 診療のプロが考える経済的負担を減らすための選択肢?? ?岡田 悟 南郷 栄秀東京北医療センター 総合診療科