ブックタイトル薬局 69巻 4月号

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概要

薬局 69巻 4月号

84 2286 薬 局 2018 Vol.69, No.5はじめにがん医療はまさに日進月歩で発展している時代であり,毎日のように新たな抗がん薬の開発・承認のニュースが飛び交うようになった.その一方で,新たな医療は高額なものも多く,医療費膨張,患者の経済的負担が昨今問題となっている.その中でがんは,現在では2人に1人ががんになる時代となり,国民病となった.がん医療は進歩してきたとはいえ,治る患者は6割であり,死亡率が高い1).ちまたには,「○○でがんを治す○○免疫療法」などのエビデンスの乏しい医療が派手に紹介されていて,そのような情報に引っかかり,数百万円もの治療費を失ってしまう患者も少なくない.本稿では,がん患者の経済的負担軽減を考えたがん医療に関して述べる.すべてのがんに,早期発見・早期治療が有効というわけではない.検診が有効ながんは一部のみ.PET検診は勧められないすべてのがんに,早期発見・早期治療が有効ではない.がんの進行は,非常に緩徐に進行するものから,急速に進行し,あっという間に死に至るものまでさまざまである.早期発見・早期治療は理論的にはよいように思われるが,緩徐に進行するがんや,急速に進行するがんには,適応することはできない.がん検診を考える場合,検診がどこまで有効かどうかを知っておく必要がある.有効性の評価をするには,発見率だけではいけない.がんの発見率が高くなったとしても,最終的にがんの死亡率まで下げることができなければ,検診を勧めるだけの意味がない.厚生労働省は,胃がん,子宮頸がん,肺がん,乳がん,が んすべてのがんに,早期発見・早期治療が有効というわけではない.検診が有効ながんは一部のみ.PET検診は勧められない.術後再発転移のリスクが低い早期がん患者(前立腺がん,乳がんなど)にPET,CT,骨シンチなどの検査をすべきでない.転移がんで,PS3 ~ 4(寝ているのが50%以上),さらなる抗がん薬治療による臨床的意義を支持する強いエビデンスがない抗がん薬治療はやるべきでない.特定の標的分子異常をもつ患者に対するエビデンスが得られていない分子標的治療をやるべきでない.■ 診療のプロが考える経済的負担を減らすための選択肢?? 11勝俣 範之日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授