ブックタイトル薬局 69巻 4月号

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概要

薬局 69巻 4月号

薬 局 2018 Vol.69, No.5 2297 95はじめに米国医療薬剤師会(ASHP)のガイドラインでは,「フォーミュラリーとは医療機関における患者に対して最も有効で経済的な医薬品の使用に関する方針」と定義されている1).また,国際薬剤師・薬学連合(FIP)で発表された病院薬剤師声明では,「病院は,最良の利用可能なエビデンスに基づいた標準治療ガイドライン,プロトコール,治療方法と関連づけされている(施設,地域,および国の)フォーミュラリーシステムを利用すべきである」と明確に記載されている2).当院では,先進的な医療を提供する中でも,薬剤師はファーマシューティカルケアの実践のために,有効性と経済性を重視した薬物治療を選択する理念が浸透している.有効性のみならず,経済性を考慮することで患者負担の軽減,病院経営,ひいては国家医療財政の圧迫の抑制を目的としてきた.後発医薬品の使用を積極的にするために,一般名処方を2006年より導入し,同種同効薬についてのフォーミュラリーの作成を2013年から開始した.フォーミュラリーの導入は,ジェネリック医薬品の積極的な活用のためだけではなく,医師と薬剤師が院内における標準治療を行うための指針である.本稿では,当院のフォーミュラリーを作成するプロセス,実際の作成事例とメンテナンス,医師との連携について述べる.病院におけるフォーミュラリー導入・運用の実践フォーミュラリーとは,医療機関における患者に対して最も有効で経済的な医薬品の使用に関する方針であり,標準治療ガイドライン,プロトコール,治療方法と関連づけされているシステムである.薬剤師は,ファーマシューティカルケアの実践のために,有効性と経済性を重視した薬物治療を行う.医薬品の採用評価には薬剤師による評価が不可欠であり,臨床上の必要性を検討する.フォーミュラリーの実践には医師と薬剤師の連携が必要であり,院内の使用実態に即した使用基準を作成することが重要である.諸外国の事例より,わが国の国民皆保険制度を維持する上で,有効性と経済性を重視した薬物治療を選択する理念を浸透させるために,フォーミュラリーは重要な役割を果たす.■ エビデンスと経済合理性に基づいた薬剤選択指針“フォーミュラリー”の基礎と実践?? ?上田 彩聖マリアンナ医科大学病院 薬剤部 医薬品情報課 係長Feature | 所得格差時代の薬物治療