ブックタイトル薬局 69巻 5月号

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概要

薬局 69巻 5月号

52 2406 薬 局 2018 Vol.69, No.6痛みとかゆみ痛みは「実際に何らかの組織損傷が起こった時,あるいは組織損傷が起こりそうな時,あるいはそのような損傷の際に表現されるような,不快な感覚体験および情動体験」,かゆみは「皮膚と一部表在粘膜に認められる特有の感覚で,掻破衝動を起こす不快な感覚」と定義され,両者とも患者にとって不快な感覚である.水痘・帯状疱疹ウイルス(varicellazoster virus : VZV)によって引き起こされるウイルス感染症の一種である帯状疱疹は,発生時期が異なるものの,痛みとかゆみを訴える皮膚疾患である.帯状疱疹関連痛と帯状疱疹後?痒帯状疱疹関連痛(zoster-associated pain :ZAP)とは,帯状疱疹に関連した痛みの総称で1),帯状疱疹発症直後による急性期の痛み(帯状疱疹痛,zoster pain : ZP),帯状疱疹の合併症による痛み,帯状疱疹後神経痛(postherpeticneuralgia : PHN)が含まれる.ZAPは皮膚疾患において最も強い痛みであり,PHN移行例では生活の質(QOL)が著しく低下する2).一方,帯状疱疹後にみられる「知覚鈍麻や長期に続く?痒感」は帯状疱疹後?痒(postherpeticitch : PHI)と呼ばれ,病態は不明であるが,QOLを低下させる病態として他の?痒症と同様に注目されつつある.図1に帯状疱疹発症後の皮膚および神経の帯状疱疹による慢性?痒帯状疱疹後に「知覚鈍麻や長期に続く?痒感」と定義される帯状疱疹後?痒が出現する.発生機序は不明な点が多いが,帯状疱疹罹患後の神経障害が推測されている.帯状疱疹後?痒は時に帯状疱疹後神経痛と同様に生活の質を著しく低下させる.確固となる治療法は確立されておらず,重篤化を防ぐには発症前の予防接種,発症時の適切な抗ウイルス薬の投与が重要となる.アミトリプチリン,プレガバリン,ガバペンチン,ミルタザピンなどの神経障害性疼痛治療薬が有効な可能性がある.■ 慢性?痒の治療戦略! 重症度に応じた具体的スキーム?? ?山口 重樹* 寺島 哲二獨協医科大学医学部 麻酔科学講座 *教授