ブックタイトル薬局 69巻 5月号

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概要

薬局 69巻 5月号

58 2412 薬 局 2018 Vol.69, No.6はじめに薬剤誘発性?痒(dr ug-induced itch/pruritus)は,皮膚症状を伴わずに薬剤により誘発される全身性のかゆみと定義されるが,限局性に生じるかゆみも含まれる1, 2).掻破痕,痂皮,色素沈着など掻破によって二次的に生じる皮膚症状(続発疹)はしばしば観察される.すなわち,原発疹を伴わずにかゆみが生じる皮膚?痒症の中の薬剤性皮膚?痒症に該当すると考えられる3, 4).一方,薬剤はアレルギー性あるいは非アレルギー性の機序を介して種々の皮膚粘膜反応を誘発し薬疹として多彩な発疹の形態を呈するが,かゆみを伴うものも多く,薬剤誘発性?痒との鑑別が難しい場合もある1, 2, 5).本稿では,薬剤誘発性?痒の原因となる代表的な薬剤について概説し,最後に診断と治療について述べる.薬剤誘発性?痒の頻度と種類あらゆる薬剤がアレルギー性の機序を介してかゆみを起こす可能性がある.実際に添付文書上に副作用として“かゆみ”が記載されている薬剤を検索するとその数は数千にも上る.しかし,それらのほとんどは詳細が記されていないこともあり,薬剤誘発性?痒の頻度を正確に把握することは困難である.文献上,薬剤性の皮膚障害3,671例のうち31.3%でかゆみが愁訴として記載されていたとする報告がある6).皮膚症状を伴わない薬剤誘発性?痒はかゆみを伴う薬疹より頻度が少な薬剤性?痒多数の薬剤が薬疹として,あるいは原発疹を伴わない皮膚?痒症としてかゆみを起こす.薬剤誘発性?痒は,薬剤により誘発されるかゆみのうち,皮膚病変を伴わないものを指すが,診断が難しく,正確な頻度は不明である.薬剤誘発性?痒の機序として,ヒスタミン遊離作用,起痒物質の含有やⅠ型アレルギーなどが考えられる.分子標的薬による皮膚障害の一つに難治性のかゆみがあり,特に上皮成長因子受容体阻害薬では頻度が高い.薬剤誘発性?痒の治療の原則は被疑薬の中止だが,分子標的薬では原疾患の治療のためにも,かゆみの緩和を図りながら投与を継続するように努める.■ 慢性?痒の治療戦略! 重症度に応じた具体的スキーム?? ?江畑 俊哉ちとふな皮膚科クリニック 院長