ブックタイトル薬局 69巻 5月号

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概要

薬局 69巻 5月号

66 2420 薬 局 2018 Vol.69, No.6はじめに慢性?痒治療に用いる外用剤の中心はステロイド外用剤である.したがって,治療を考える際には,「ステロイド外用剤を用いるのか?」「他の薬剤を用いるのか?」から考えることが実際的である.ステロイド外用剤は幅広く炎症性皮膚疾患に使用され,その中でも最もよい適応は湿疹・皮膚炎群であり,患者数も多い.言い換えると,「湿疹であるのかどうか?」から始めることにもなる.作用機序別に治療薬を考える場合は,何らかの炎症に伴う?痒に対してはステロイド外用剤,皮膚の乾燥に起因する?痒に対しては保湿剤,?痒の原因とは関係なく末梢神経の作用を抑制することで止痒効果を期待する場合に局所麻酔薬,クロタミトン,メントール,カプサイシンなどが用いられる.本稿ではステロイド外用剤を中心とした湿疹の治療を中心に,外用剤による慢性?痒に対する治療について概説する.ステロイド外用剤ステロイド外用剤の最もよい適応は湿疹・皮膚炎群の疾患である.他の炎症性皮膚疾患にも有効な場合はあるが,効果を得るには湿疹・皮膚炎群と比べて,よりランクの強い薬剤を選択しなければならないことが多い.湿疹についての考え方,治療薬,治療方法の選択,その他の炎症性皮膚疾患の治療について以下に列記する.外用剤慢性?痒を生じる皮膚疾患で最も多いのは湿疹・皮膚炎群であり,その治療にはステロイド外用剤が有効である.すなわち,慢性?痒の治療は「湿疹・皮膚炎群か?=ステロイド外用剤を使うか?」から考え始める必要がある.「 湿疹はステロイド外用剤で治る」と考える.治らないときは「治る薬を使う」「塗らない薬は効かない」「増悪因子を考える」「痒疹は治りにくいので痒疹なりの治療が必要」と考える.かゆみと温度受容体であるtransient receptor potentialチャネルが作用点である,局所麻酔薬,クロタミトン,メントール,カプサイシンなどは末梢神経に作用し,一過性に止痒効果を発揮する.炎症自体を抑制するわけではないので,ステロイド外用剤が無効の場合や使用しにくい場合などに慢性?痒に対して補助的な治療手段となる.■ この薬は“いつ”“どの患者で”“どう使う”? ?? ?片桐 一元獨協医科大学埼玉医療センター 皮膚科 教授