ブックタイトル薬局 69巻 5月号

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概要

薬局 69巻 5月号

薬 局 2018 Vol.69, No.6 2429 75はじめに花粉症,蕁麻疹などのアレルギー疾患の病態には組織の肥満細胞から遊離されるヒスタミンが主要な役割を担っており,その作用は主としてヒスタミンH1受容体を介して発揮されている.このため,古くから抗ヒスタミン薬がアレルギー疾患の治療薬として利用されてきた.しかし,多くの抗ヒスタミン薬は組織の遊離ヒスタミンを抑制するのみならず,中枢神経のヒスタミンを伝達物質とする神経系に対しても抑制作用を示し,眠気,倦怠感など種々の副作用を示した.また,ムスカリン受容体にも結合して抗コリン作用を示すことから口渇,尿閉,頻脈などの副作用もみられた.こうした副作用を軽減するためさまざまな改良がなされ,H1受容体に選択性が高くかつ結合能の高い製剤,あるいは中枢神経系への移行が少ない製剤が開発されてきた.本稿では,臨床使用されている代表的な抗ヒスタミン薬についてその特徴を要約し,慢性?痒治療において,病態を考慮した最適な抗ヒスタミン薬の薬剤選択,投与法を考えてみたい.抗ヒスタミン薬の種類と特徴1910年代にヒスタミンが発見されて以後,多くの抗ヒスタミン薬が開発されてきた.抗ヒスタミン薬は,基本的にはヒスタミン受容体のうちH1受容体に結合して,ヒスタミンの結合に拮抗的に作用する薬物である.適応疾患は,製剤によって多少の例外はあるものの,基本的にはアレルギー性鼻炎,蕁麻疹,皮膚疾患(湿疹・皮膚炎,皮膚?痒症)に伴う?痒抗ヒスタミン薬抗ヒスタミン薬は抗コリン作用と中枢神経系抑制作用による副作用を有する.抗コリン作用が軽減された製剤は第二世代,中枢神経系抑制作用が軽減された製剤を第三世代,抗ヒスタミン作用に抗血小板活性化因子作用を併せもつ製剤を第四世代とすると理解しやすい.臨床的には第三世代以降の製剤の安全性が高く使用しやすい.それぞれの製剤の最高血中濃度到達時間と血中半減期を理解して臨床使用する.慢性蕁麻疹に対して抗ヒスタミン薬は第一選択薬であるが,皮膚?痒症や慢性湿疹に対しては補助的な位置づけである.■ この薬は“いつ”“どの患者で”“どう使う”? ?? ?荻野 龍平 森田 栄伸*島根大学医学部 皮膚科 *教授Feature | かゆみ