ブックタイトル薬局 69巻 5月号

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概要

薬局 69巻 5月号

82 2436 薬 局 2018 Vol.69, No.6はじめにアトピー性皮膚炎は日常診療で遭遇する機会の多い代表的な慢性?痒性疾患と言える.重症・難治なアトピー性皮膚炎の短期的な寛解導入療法として,ステロイドと免疫抑制薬であるシクロスポリンが内服薬として使われることがある.両薬剤ともに,皮疹と共にかゆみも改善することを経験する.本稿では,アトピー性皮膚炎のかゆみの機序を簡単に説明した上で,アトピー性皮膚炎に対するステロイドとシクロスポリン内服療法の作用機序,副作用,位置づけ,使用方法について概説する.アトピー性皮膚炎のかゆみの機序アトピー性皮膚炎における難治性のかゆみの発症機序として,表皮内神経線維の増生によるかゆみ過敏や,ヒスタミン以外のケミカルメディエータの関与などが提唱されている1).中でも,インターロイキン(IL)―31,proteaseactivatedreceptor(PAR)―2,thymic stromallymphopoietin(TSLP)などはアトピー性皮膚炎のかゆみと関連性が深い.IL―31は2型helper T(Th2)細胞から産生されるサイトカインであり,アトピー性皮膚炎の病変部や血清中で増加する1, 2).PAR―2は表皮角化細胞で活性化されると細胞内カルシウム濃度が上昇し,カルシニューリンが活性化する1).これによりnuclear factor of activated T-cellsステロイド・免疫抑制薬アトピー性皮膚炎は日常診療で遭遇する機会の多い代表的な慢性?痒性疾患である.重症で難治なアトピー性皮膚炎患者に,ステロイドと免疫抑制薬であるシクロスポリンが内服薬として使われることがある.ステロイドとシクロスポリンは短期的な寛解導入療法として用いるべき薬剤である.長期間のステロイド内服には種々の重篤な全身性副作用があることから,投与するとしても短期間にとどめるべきである.シクロスポリンの1回の治療期間は12週以内とする.再投与する場合は,2週間以上の休薬期間を設ける.■ この薬は“いつ”“どの患者で”“どう使う”? ?? ?佐伯 秀久日本医科大学 皮膚科学 教授