ブックタイトル薬局 69巻 5月号

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概要

薬局 69巻 5月号

100 2454 薬 局 2018 Vol.69, No.6はじめに緩和ケアにおいて,かゆみ(?痒)は比較的頻度の高い症状の一つである.?痒は皮膚に病変がある一次性のものと全身疾患などに伴う二次性の原因に大別される.およそ7割の原因が一次性であるといわれている.?痒を感じる機序は複雑であり,まだ解明されていない部分も多いが,痛みと同様の経路で伝達がされると考えられており,表皮―真皮境界部に存在する知覚神経終末への刺激からC線維を通じて脊髄後角,脊髄視床路へと刺激が伝達されると考えられている1, 2).?痒を誘発する因子もまた,さまざまなものが関与していると考えられているが,中でも重要な因子はヒスタミンおよびセロトニンである1-3).しかし,全身疾患に伴う二次性の?痒,例えば黄疸などの場合,抗ヒスタミン薬は無効であることが多く,一般的な?痒へのアプローチでは緩和に難渋することも多い1).そのため,その後者に関与する抗うつ薬,特に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬( NaSSA)の効果が注目されてきた.三環系抗うつ薬のアミトリプチリンも時に神経性あるいは精神性の慢性?痒に使用されることがあるが,比較試験はなく報告も少ない.本稿では,パロキセチンとミルタザピンについてその効果や使用感,副作用,また注意すべき点などについて概説し,最後にこの両剤を使用した症例についてご紹介する.抗うつ薬?痒を感じる機序のうち,重要な因子はヒスタミンおよびセロトニンであり,特に後者へ作用する抗うつ薬はその症状改善が期待される.抗うつ薬のうち,効果が報告されている薬剤としてパロキセチンとミルタザピンが挙げられる.パロキセチンは効果発現も早く劇的な効果を示す場合があるが,副作用などの懸念がある.ミルタザピンはパロキセチンと同様の効果があり,副作用も比較的少なく使用しやすい.パロキセチンの無効例にもミルタザピンが有効という場合がある.■ この薬は“いつ”“どの患者で”“どう使う”? ?? ?西 智弘川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 医長