ブックタイトル薬局 69巻 5月号

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概要

薬局 69巻 5月号

18 2372 薬 局 2018 Vol.69, No.6はじめにかゆみは多くの皮膚疾患で出現する主要な症状であり,仕事や学業など日常生活に悪影響が及び,著しくQOLが低下する.何よりも睡眠障害を来すことが大きな問題である.また,かゆくて皮膚を掻破することで皮膚の炎症が惹起・増悪され,さらにかゆみが増すという悪循環“itch-scratch cycle”が生じるため,そのコントロールは治療をしていく上で非常に重要である.かゆみは主観的な感覚であるため,他者が客観的にその程度を評価することは難しい.一方で,かゆみの程度を評価することは,診断や病勢の把握,治療効果の判定,QOLの理解のために非常に重要である.本稿では,一般的なかゆみの評価法について概説するとともに,慢性?痒における薬効評価において種々評価法の結果をいかに考えればよいかについて解説したい.かゆみの評価法の種類かゆみは主観的な感覚であるため,厳密な客観的測定は難しいが,これまでにさまざまなかゆみ測定法が考案され用いられている.かゆみの評価法には,患者自身がその程度を評価する主観的評価法と,他者が患者自身の行動や皮膚の状態を観察することで評価する客観的評価法がある.主観的方法にはvisual analogue scaleかゆみの評価と治療効果の考え方かゆみの評価は,診断や病勢の把握,治療効果の判定,QOLの理解のために非常に重要である.かゆみの評価法には患者本人が評価する主観的方法と掻破行動を測定して判定する客観的方法がある.主観的方法にはvisual analogue scale( VAS), verbal rating scale(VRS),numerical rating scale(NRS),白取や川島の?痒評価基準,5―D itch scaleなどがあり,臨床の現場や臨床治験での評価尺度として用いられている.客観的方法には赤外線ビデオカメラによる観察や掻破動作・掻破音を特殊な機器で検出し解析する方法などがある.治療効果の判定の際には,かゆみスコアはプラセボでもある程度軽快することを考慮して解釈する必要がある.中原 真希子* 古江 増隆**九州大学大学院 医学研究院 皮膚科学 *診療講師 **教授