ブックタイトル薬局69巻7月号

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概要

薬局69巻7月号

薬 局 2018 Vol.69, No.8 2673 31吸入性アレルギー疾患の原因としてのダニ1 問題になるダニの種類ダニは世界中で最も重要なアレルゲンと考えられている.世界から約4万種を超えるダニ類が確認されているが,主な室内生息性のダニは10種前後で,その中でも,わが国の一般家庭において問題になるダニとしては通常,チリダニ科のヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)とコナヒョウヒダニ(D. farinae)の2種である.チリダニ科のダニは,塵埃や寝具に含まれる人の垢やフケ,食品片,昆虫の死骸などを餌として繁殖する.チリダニは「①温度20~30℃,②湿度70%以上,③産卵に適した潜伏場所がある」という条件を満たした室内環境で発生しやすいため,物品が多く,通気が悪く,十分に掃除ができていない住宅で恒常的に繁殖する.このようなチリダニ科のダニを室内塵ダニ(house dust mite)と呼ぶ.一方,コナダニ科,ニクダニ科のダニは穀物倉庫などで大量発生することから貯蔵庫ダニ(storage mite)と呼ばれる.このグループのダニは農家などの職業性アレルギーの原因として報告が多いが,中南米や東南アジアでは室内環境アレルゲンとしても問題になることがある.しかし,わが国で室内塵ダニよりも貯蔵庫ダニの方が室内環境アレルゲンとして重要となるケースになることはほぼないという認識でよく,室内環境アレルゲンとして重要なダニはチリダニ科のヤケヒョウヒダニと衛生害虫とアレルギーとの関連性ダニは世界中で最も重要なアレルゲンと考えられている.わが国の一般家庭において問題になるダニとしては,チリダニ科のヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種である.わが国のアレルギー性疾患患者において最も感作率が高いといわれている昆虫アレルゲンはガである.チャタテムシはわが国の室内塵の調査を行うとダニの次に高頻度かつ多量に検出される害虫で,アレルギー症状の原因になる.マダニ咬傷が原因となり,マダニ唾液中の糖鎖galactose-α-1,3-galactoseにアレルギーになった結果,獣肉アレルギーを発症する事例が問題になっている.■ 衛生害虫によるヒトへの健康被害 ???福冨 友馬国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 診断・治療薬開発研究室 室長Feature | 衛生害虫対策