ブックタイトル薬局69巻7月号

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概要

薬局69巻7月号

薬 局 2018 Vol.69, No.8 2685 43はじめに一口に殺虫剤と言っても,ゴキブリ用,ハエ・蚊用,ハチ用,ムカデ用,カメムシ用,ナメクジ用,農業・樹木害虫用,衣類害虫用など,さらに,同じように蚊やノミ用となっていても,人の居住空間に使用するもの,ペット小屋やその周辺,体表に直接使用するもの,また,薬局や薬店,ドラッグストアのみで販売されている第1類・第2類医薬品,ホームセンターやコンビニなどでも購入できる防除用医薬部外品,農薬,不快害虫用殺虫剤などさまざまである.一般消費者には店頭に並べられている商品を見ても,判断に迷うことが多いだろう.殺虫剤の効果は,基本的にはその有効成分の種類やその含有量,処理法などに左右される.日常的に殺虫剤の効力評価にかかわっている筆者は,これらの内容や価格などから総合的に判断して購入しているが,一般消費者はそうはいかないだろう.過日行われた一般消費者向けの講習会では,軒下などに吊り下げて使用する蒸散剤に関する多くの質問があった.内容は「適用害虫がユスリカ,チョウバエとなっているが蚊に効くのか(使えるのか)」であった.これらの製剤については,蚊にも効果がある有効成分を使用しているが,現時点では,関連法律(下記参照)に基づく承認が得られていないため,効能・効果に「蚊の防除」とは記載されていない.衛生害虫に用いる殺虫剤の種類と特徴衛生害虫用殺虫剤は,医薬品医療機器等法の規制を受ける.衛生害虫とは,ハエ,蚊,ゴキブリ,ノミ,シラミ,マダニなどの主として疾病にかかわる害虫を指す.衛生害虫用殺虫剤は,害虫に対する効力データだけでなく,多くの毒性試験などをクリアしなければ承認されない.衛生害虫用殺虫剤の有効成分は,有機リン系・ピレスロイド系化合物などがあり,家庭用殺虫剤には,ピレスロイドが多く用いられている.衛生害虫用殺虫剤の剤形としては,エアゾール剤,蒸散剤,食毒剤などがあり,使用場面に応じた使い分けが必要である.殺虫剤抵抗性は,イエバエ,チャバネゴキブリ,トコジラミなどで知られ,同一(系統)の薬剤に曝露され続けることによる淘汰により発達する.■ 忌避剤・殺虫剤の基礎知識:有効性と安全性 ???武藤 敦彦一般財団法人日本環境衛生センター 環境生物・住環境部 部長Feature | 衛生害虫対策