ブックタイトル薬局69巻7月号

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概要

薬局69巻7月号

薬 局 2018 Vol.69, No.8 2705 63はじめに世界最大の慈善基金団体であるビル&メリンダ・ゲイツ財団のグローバルヘルスプログラムの一つの柱に感染症対策が掲げられている.ビル・ゲイツのブログサイトに「世界で最も危険な動物(World's Deadliest Animals)」というサイトがあり,その中でダントツ1位に君臨しているのが「蚊」である.このサイトの情報によれば,蚊は1年間に83万人のヒトを殺している.世界には3,000種類もの蚊が分布し,ヒトに感染症を媒介する蚊はそのうちの10%程度であるが,中でもヒトのマラリアを媒介するハマダラカ属(Anopheles)の蚊が最も危険である.アフリカ諸国ではガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)(図1)が最重要種である.WHOが発行している“WorldMalaria Report”(2017年)によれば,2016年のマラリアによる死者は推定44万5,000人となっており,蚊に刺されることが原因で死亡するヒトの54%がマラリアで死亡していることになるが,マラリア以外による死者数は相対的にはごく少数なので,ブログサイトの83万人という数字は若干過大評価気味ではある.数字の真偽はともかく,重要なのはマラリアによる死者の多くがアフリカ諸国の子供蚊蚊は,1年間に何十万人ものヒトを殺している地上で最も危険な動物である.蚊から身を守るためには,地方公共団体による環境整備や防除努力に加えて,自分で自分の身を守る自助努力(self protection)が大切である.Self protectionのためのツールとして,従来の殺虫剤や忌避剤に代わるデバイスや技術が進歩しつつあるが,このようなツールを安全かつ有効に使用するためには,国の定める承認制度に準拠したツール開発を早急に進めなければならない.■ 医療従事者が押さえておきたい衛生害虫防除のポイント ???川田 均長崎大学 熱帯医学研究所 准教授図1 吸血を終わって飛び立つ寸前の,アフリカにおける最重要種ガンビエハマダラカ(カラー写真p11)Feature | 衛生害虫対策