ブックタイトル薬局69巻7月号

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概要

薬局69巻7月号

薬 局 2018 Vol.69, No.8 2723 81はじめにヒトに危害を加える可能性のある生物の中で,ノミ,イエダニ,トリサシダニ(以下,総称して害虫という)は,ヒト以外の他の動物に吸血寄生して生活している.しかし,何らかの理由でそれらの動物(宿主)がいなくなる,もしくは害虫が増え過ぎたときなど吸血源を求めて激しくヒトを襲う.もともとこれらの宿主とは,ネコノミではネコ,イヌ,ハクビシンやアライグマ,イエダニではネズミ,トリサシダニではスズメ,ムクドリなど野鳥であり,それぞれ居住環境に生息する宿主に寄生する.吸血の被害は激しい掻痒を伴い,非常に不快である.まれに掻痒部分が悪化し,炎症を起こすことがある.これらの害虫からは疾病は知られていないが,ケオプスネズミノミは腺ペストの媒介者として有名である.なお,ノミによる掻痒は「手へんに蚤のみ」と書いて「掻かく」という字ができたほど痒みは強いといわれている.一方,ネズミはイエダニによる被害だけでなく,鼠咬症,レプトスピラ症,サルモネラ症などの感染症を媒介する.さらにケーブルをかじり,短絡事故による火災の原因になることもある.医療従事者は痒み止め(止痒薬)の知識だけでなくその原因となる生物,または医薬品・医薬部外品の防除薬剤(殺虫剤,殺鼠剤,忌避剤)の知識も必要となる.さらにこれらの防除は安易に相談者に薬剤を販売するだけではなく,専門知識をもち,経験豊富な専門業者(ペストコントロール業者:PCO)に依頼した方が解決は早いことも念頭に置くべきである.ノミ・イエダニ・トリサシダニ・ネズミノミ,イエダニ,トリサシダニの駆除は加害種を明確にした上で,宿主となる動物の対策が必要である.ネズミの対策は殺鼠剤,トラップによる捕獲が主であるが,食物をなくす,侵入防止対策が重要で,イエダニ対策も含めて対応する.ノミ,イエダニ,トリサシダニの対策は発生源対策が重要で,そこに殺虫剤を利用する.宿主となる動物対策は捕獲や侵入阻止対策が主であるが,これらの対策は専門業者(PCO)に相談することが望ましい.■ 医療従事者が押さえておきたい衛生害虫防除のポイント ???谷川 力* 富岡 康浩**イカリ消毒株式会社 技術研究所 *所長 **参与Feature | 衛生害虫対策