ブックタイトル薬局69巻7月号

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概要

薬局69巻7月号

88 2730 薬 局 2018 Vol.69, No.8はじめにデング熱は蚊類,重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニ類のように,感染症を媒介する昆虫はヒトの健康を害するため重要であるが,それらとは異なる意味で問題となるのがトコジラミである.インターネットやニュースなどでトコジラミの情報が容易に得られることから,近年のトコジラミ被害や相談は増加傾向にあると思われる.トコジラミはその生態から防除が難しいため,早急に害虫駆除業者に依頼する方が,精神的にも金銭的にも結果的によい場合がある.しかし,個人レベルでも適切に処理を行えば,駆除することは可能であるため,本稿では,トコジラミの特徴と個人で実施可能な防除・対策のポイントについて説明する.トコジラミの特徴1 分 類トコジラミは,ウンカやセミと同じカメムシ目の昆虫である.ヒトから吸血する主な種類は,トコジラミとネッタイトコジラミの2種類であり,トコジラミによる被害が最も多いが,最近では,ネッタイトコジラミの被害も都市部や沖縄県で報告されている1).また,主に鳥類から吸血し,ヒトからも吸血可能なツバメトコジラミによる被害も報告されている2).ツバメトコジラミの場合は,野鳥がベラトコジラミトコジラミは,草むらなどの野外で発生するのではなく,ホテル・旅館や一般家庭などで発生する.哺乳動物や鳥類の血液が唯一の餌であるため,ヒトや動物がいないところでは増えない.温度が安定している建物内では,1年中活動可能である.翅はねが退化しているため,飛んで侵入することはない.蚊のように特定の感染症を媒介する能力はない.しかし,血液感染性の疾病に罹患した人から吸血したトコジラミを傷跡のある指などで潰した場合,感染するリスクはないとは言えない.個人で駆除を行う際の殺虫製剤は,カーバメート系またはオキサジアゾール系の有効成分を含むものを選ぶとよい.■ 医療従事者が押さえておきたい衛生害虫防除のポイント ???數間 亨一般財団法人日本環境衛生センター 環境生物・住環境部 環境生物課