ブックタイトル薬局69巻7月号

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概要

薬局69巻7月号

薬 局 2018 Vol.69, No.8 2737 95はじめにわれわれの生活空間である屋内には驚くほど多くのダニ類が生息している.これらの多くは,われわれがその存在に気づいたずっと以前から人と屋内を共生してきた身近な生物である.にもかかわらず,長い間,ダニ類は人から誤解や偏見によって悪玉視されてきた不幸な生物でもある.近年,屋内塵性ダニ類が皮膚炎を起こしたり,アレルギー疾患に関与するなど注目されているが,それらの多くは屋内のごみやカビなどを食べることによって屋内環境を一定の状態に維持する役割を担っている有益な生物でもある1-4).これらのダニの対策を行うには,その存在意義を十分に考慮し,屋内の生態系を損なうことのないよう配慮される必要がある.さらに,その行為は家庭の事情に配慮され,かつ環境に優しいものでなければならない.屋内塵中にみられるダニ類5-8)1 屋内より検出される主なダニ類わが国の屋内塵中から検出されているダニの種類数は100種以上に上っている.しかし,そのうち30~40種のダニ類が過去に行われた実態調査の結果から屋内の固有種と考えられる.そのほかのダニ類は人(動物)や植物または家具などに付着して屋内に持ち込まれている種類で,それらは屋内で長く住み続けることができない.屋内固有のダニ類は屋外に生息している種類と違って屋内固有の食べ物や屋内特有の環境を好み,さらに居住者の影響などにうまく適応し,家屋内という閉鎖環屋内塵性ダニ類わが国の屋内塵中からは100種類を超えるダニ類が認められ,中でもチリダニが優位種である.さまざまな空間的(屋内・地域的な分布)および時間的(日内変動・季節消長など)動態が認められる.わが国の屋内のダニ類は戦後増加傾向にあり,その要因は住居様式および生活様式などの変化に起因しており,それらはアレルギー疾患の増加にも関係していると考えられる.病害により原因種が異なり,同時にそれらの対策法も大きく異なる.中でも,アレルギー疾患に対する患者宅におけるダニ対策は屋内環境の整備が重要である.■ 医療従事者が押さえておきたい衛生害虫防除のポイント ???高岡 正敏株式会社ペストマネジメントラボ 代表取締役Feature | 衛生害虫対策