ブックタイトル薬局69巻7月号

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概要

薬局69巻7月号

薬 局 2018 Vol.69, No.8 2747 105はじめに近年,マダニ媒介感染症がマスコミでしばしば取り上げられ,その対応が求められている.マダニやツツガムシのように広範囲に生息する害虫対応では,関係者(土地所有者・利用者など)の協力,防除目標の設定,費用対効果,非標的生物への影響など,さまざまな難しさがある.一般的には行政などの統括のもとで,組織的に対応することが必要であるが,自身が所有する土地や建物であれば,自ら対処する必要がある.本稿では,薬局・薬店において,個人消費者からマダニやツツガムシに関する相談を受けたときの情報提供となるように,それぞれの特徴と防除・対策のポイントを手順ごとに説明する.マダニ・ツツガムシの特徴1 マダニの生態と健康被害マダニは節足動物門クモ綱ダニ目のマダニ亜目に属する種類で,日本ではこれまでに47種が記載されている1).人への健康影響の観点では,マダニ亜目マダニ科のマダニ属,チマダニ属,キララマダニ属の種類が重要である.孵化後のマダニの幼虫は,大きさが1mm程度であるが,その後,若虫,成虫と発育するにつれて体も大きくなる.成虫は未吸血時でも,大きさが5~10mmにもなり,肉眼でも十分に認識される.マダニは各発育期で野生動物に取り付いて,マダニ・ツツガムシマダニは温暖な地域ではほぼ1年中活動し,都市部でも咬着と感染症発症のリスクがある.近年の患者数の推移からは,重症熱性血小板減少症候群,日本紅斑熱,恙つつが虫むし病は注意が必要である.マダニやツツガムシの生息には,必ず動物が介在しているので,動物・ダニ・人の接点を考えることが対策につながる.マダニ,ツツガムシは広範囲に生息するため,殺虫剤処理はマダニとの接触リスクの高い箇所に重点的に使用するのが望ましい.忌避剤の有効性は高いが,リスクを避けるためには,刺されないような服装を心がける必要もある.■ 医療従事者が押さえておきたい衛生害虫防除のポイント ???橋本 知幸一般財団法人日本環境衛生センター 環境生物・住環境部 次長Feature | 衛生害虫対策