ブックタイトルRp.+レシピプラス2016年夏号

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概要

Rp.+レシピプラス2016年夏号

 近年,精神科疾患に対する治療環境は大きく変化しています.今回取り上げた抗精神病薬は主に統合失調症に使用される医薬品群ですが,双極性障害やうつ病,認知症の行動・心理症状やせん妄の改善のために使用される機会も増えてきました. このようななか,2015 年9 月に日本神経精神薬理学会から「統合失調症薬物治療ガイドライン」が公表されました.これは,エビデンスに基づいた統合失調症の薬物療法に関する国内初のガイドラインで,2 年もの長期にわたり,多くの専門家がかかわって作成されました.エビデンスに基づいて作成されているため,新しい抗精神病薬については今後のデータ蓄積を待たれる部分もありますが,幅広い事例に対して,より適正な道を示してくれるものであることに間違いありません. 『統合失調症』は,原因が不明で回復が不可能とされていた『精神分裂病』の別名ではなく,神経伝達物質のアンバランスによる回復可能な状態という新たな疾病概念です.今日では治療環境が整えられ,多くの患者さんが社会に復帰できるようになってきました.また,昨今,処方箋やお薬手帳などを介した情報提供が進み,病院のみならず,保険薬局でも積極的に患者情報を収集し,薬学的な管理を実践できる方向に向かっています.しかし,精神科の処方は難解なうえに患者さんへの対応には特別なスキルが必要で,患者さん本人からの情報収集は難しいと感じている薬剤師は少なくないと思います. 本号が,精神科薬物療法や精神科疾患を有する患者さんへの理解をより深めていただく一助となれば幸いです.そして,読者の方々の薬学的な介入により,患者さんの日常生活や社会復帰に障害となる副作用をできる限り回避し,“その人らしい社会生活”を送るための薬物療法の実践につながることを切望いたします.鈴鹿医療科学大学大学院薬学研究科 教授  三輪高市精神病薬整理する統合失調症患者の対応をシミュレーションVol.15,No.3 003