ブックタイトルRp.+レシピプラス2016年夏号

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概要

Rp.+レシピプラス2016年夏号

006 Vol.15,No.3抗精神病薬を使う代表的疾患「統合失調症」Vol.15,No.3 009を整理する抗精神病薬 薬局で遭遇する統合失調症患者さんは,症状が落ち着いている状態(寛解状態)であるケースが多いと思われます.すなわち,抗精神病薬による効果が得られている状態です.そのため,この時期の薬学的な管理は,安定した状態の中で患者さんの困っている問題,特に副作用に対応することが重要となります. しかし,病気の全体像をイメージしていただくことは非常に大事なことですので,はじめに,統合失調症の病態や薬物治療の早期開始の重要性などについて解説していきます.人生で統合失調症を発症しやすい時期・年齢は? 統合失調症は,思春期から青年期,10歳代後半から30歳代前半での発症が多く,10歳代後半から20歳代に発症のピークを迎え,35歳以降の発症はほとんどないといわれています.図11)は思春期である12歳頃に統合失調症を発症した患者の一般的な臨床経過をイメージ図で表しています.一般的に前駆期→進行期→安定再発期といった経過を辿ります.青線( )は以前の治療での状態を示しており,経過とともに悪化していく様子が示されています.赤線( )は,現在の精神科医療における状態を示しており,以前の治療に比べて,適正な薬物療法を行うことで患者さんの機能低下が抑えられている様子を示しています. 発症前の病前期では,発症はしていないものの統合失調症の症状によく似たエピソードが発現している場合が多くみられます.これらのエピソードは病名を確定するうえでとても重要な手がかりとなりますし,これらのエピソードを見逃さずに早期に発見・対応できれば,非常に良好な予後が期待できます. 発症後は再発をくり返すごとに脳の機能低下が進んでしまいます.しかし,最近では早期発見・早期治療,そして適正な治療により機能低下を最小限に抑えることができる,ということがわかってきました1).そのため,昨今では発症前の精神や脳の機能を維持できている患者さんがとても多くなってきています.統合失調症では,いつ,どのような症状が認められる?抗精神病薬を使う代表的疾患「統合失調症」1図2 統合失調症の発症を大きく左右する時期図3 統合失調症でくり返される悪化?回復・維持