ブックタイトルRp+2016年秋号

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概要

Rp+2016年秋号

006 Vol.15,No.4平熱とは? 発熱とは? ヒトの視床下部にある体温調節中枢で体温のセットポイント(目標値)が定められていて,それに沿って体温調節がなされます.健康であれば深部体温はほぼ一定に保たれており,これを平熱とよびます.何らかの原因で体温のセットポイントが上がり,深部体温が病的に上昇することがあり,これを発熱(fever)とよびます.これに対し,高温環境下で熱放散しきれず体温上昇をきたすことを高体温(hyperthermia)とよび,発熱とは分けて考えられます. 深部体温は主に肺動脈血流温として定義され,食道温や膀胱温,鼻咽頭温が近似します1).これらの測定を実際に行うことは大変なので,実際の臨床では,主に腋窩や舌下(口腔内),直腸,耳内(鼓膜温)などで体温を測定します(図1)1).厚生労働省が作成した『医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準』では,発熱は「体温が37.5℃以上を呈した状態」と定義しています.小児の場合,腋窩温で37.5℃以上を発熱として取り扱うことが多いようです.体温調節のメカニズム 熱産生が熱放散を上回ると体温が上昇し,熱産生が熱放散を下回ると体温が低下します(図2).熱産生と熱放散の両者を調整することで適切な体温調節が行われます.ナマケモノ2)やカッコー3)などの一部の例外をのぞき,哺乳類や鳥類の多くは「温血動物」や「恒温動物」,「内温性動物」などとよばれ,高度な体温調節(表1)4)によって外部環境によらず比較的高温を維持しています.熱産生のメカニズム 熱産生のメカニズムとしては,通常の基礎代謝に伴う熱産生のほかに,褐色脂肪細胞における非ふるえ熱産生や,骨格筋のふるえ,骨格筋の随意運動の3つがあります.皮膚の温度受容器からの情報は,痛覚や粗大な触圧覚を大脳皮質に伝達する脊髄視床路ではなく,乳幼児の発熱─ どうして発熱するの?乳幼児の“発熱”に対応する基本1