ブックタイトルRp.+レシピプラス 2017年夏号

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Rp.+レシピプラス 2017年夏号

処方例から学ぶ! 妊娠期のマイナートラブルへの対応Vol.16,No.3 105アミノフェン使用時の胎児動脈管収縮の症例が集積したことから,添付文書に「妊娠後期の婦人への投与により胎児に動脈管収縮を起こすことがある」と追記されました.しかしながら,報告された症例における使用時期と動脈管早期閉鎖が起こった時間的な経過からは,因果関係は明らかではありませんでした.また,アセトアミノフェンは胎仔の動脈管収縮作用が弱いことがラットで示されています3).妊娠後期の使用に伴う胎児動脈管収縮を疑う報告はないことから,やはり,現在のところ妊娠中に使用する鎮痛薬の第一選択薬であることに変わりないと考えられます. NSAIDsの催奇形性については妊娠初期の使用により,先天異常の発生率を増加させないとする報告が複数あります4, 5).流産については妊娠初期のNSAIDsの使用により,流産率が上昇するとの報告が複数あります5?7).一方で,流産率を上昇させないとする報告8)もあり,結論は出ていません.酸性のNSAIDsは,プロスタグランジン合成阻害作用を有していることから,妊娠後期の使用により胎児動脈管を収縮させる可能性があり,禁忌とされています.ジクロフェナクやインドメタシンなどの内服は全妊娠期間で禁忌のため,注意が必要です.時期によって使用を考慮できるかの対応が異なる場合がありますので,患者さんに妊娠週数を確認しておくことが大切です.2 妊娠中の消炎鎮痛貼付剤使用のリスクは?NSAIDsを含む貼付剤は,特に妊娠後期の使用によって胎児の動脈管早期閉鎖を起こす可能性がある.NSAIDsであるケトプロフェン貼付剤について,以前は妊娠中の使用は禁忌とされていませんでした.しかしながら,テープ剤を複数枚使用したり,20mgのテープ剤を1週間使用した症例で胎児動脈管収縮が報告されたことから,2014年3月に厚生労働省より坐剤及び注射剤と同様に妊娠後期の女性への使用を禁忌とする添付文書の改訂指示がなされました.2015年に発売されたエスフルルビプロフェン・ハッカ油テープは妊娠後期のラットに投与した実験において,ヒトに2枚を貼付した場合に得られる血漿中曝露量(血中濃度─ 時間曲線下面積:AUC)の等倍未満で,母動物の死亡,分娩遅延,出生率の低下,死産児数の増加が認められていることから,ケトプロフェン製剤と同様に妊娠後期の女性への使用は禁忌とされています.また,ケトプロフェン以外のNSAIDs消炎鎮痛貼付剤において,2014年4月時点で胎児に動脈管収縮が起きた症例は報告されていません(医薬品・医療機器等安全性情報No.312).しかし,薬剤の作用機序からは妊娠後期の女性に使用した場合,同様に胎児に動脈管収縮が起こる可能性があることを考慮し,治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用するよう注意する旨が記載されています(→p.59).処方開始時は妊娠中期であっても,妊娠後期においても使用継続される可能性がある場合には,使用時期によっては注意が必要な薬剤であることを患者さんに説明しておきます.解 説