ブックタイトルRp.+レシピプラス 2017年夏号

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概要

Rp.+レシピプラス 2017年夏号

008 Vol.16,No.3女性生殖器の構造とはたらき 女性生殖器は,個体の生命に関わる臓器ではないものの,生命を宿し育む特別な臓器です.女性生殖器は外性器(外陰)と内性器(子宮・腟・卵巣・卵管:図1)に分かれます.子 宮 子宮は通常鶏卵大で骨盤のほぼ中央に位置し(図2),頸部と体部に分かれます.子宮の頸部は靱帯で骨盤に固定されていますが,体部は可動性があり,妊娠時の増大に備えた環境となっています.非妊娠時の子宮重量は40~70gであり,子宮腔長は約7cmです.これが妊娠末期には1,000g前後の重量となり,子宮腔長も約36cmとなります.分娩後およそ6~8週間後にはもとの大きさに戻ります.腟 子宮と外陰とをつなぐ伸展性に富んだ7~8cmの管腔の臓器です.子宮からの月経血の排泄や性交時の交接器官,分娩時の胎児が通過する産道となります.腟壁扁平上皮はグリコーゲンを多く含み,腟内常在菌である乳酸菌(デーデルライン桿菌)によって乳酸となり,腟内を酸性に保つことで病原菌の増殖を防いでいます.卵 巣 卵巣は子宮の両側側方に存在し,長径3~4cm,短径1~2cmの実質臓器注です.卵子の生成,成熟,排卵を行う生殖器官であると同時に,女性ホルモンを分泌する内分泌器官です.卵巣中の卵胞はゴナドトロピン(後述)の作用で発育し,排卵へと至ります(図3).卵胞の顆粒膜細胞よりエストロゲンが分泌され,排卵後の顆粒膜細胞と莢膜細胞が変化してできた黄体からプロゲステロンが分泌されます.卵 管 子宮腔から腹腔内に開口する長さ10~12cm,直径1mm前後の細い管腔性臓器です.卵子は卵管采より取り込まれ,卵管内で精子と受精します.受精卵は卵管の蠕動運動と卵管粘膜の線毛運動により卵管内を子宮腔内へ移動します.要点整理!周産期母子の解剖生理学マイナートラブルを理解するための「産科学×薬学」1注: 中身の詰まった臓器のこと.肝臓や膵臓など.それに対して卵管や腸管などの管状,袋状の臓器を管腔臓器といいます.