ブックタイトルRp.+レシピプラス 2017年秋号
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Rp.+レシピプラス 2017年秋号
008 Vol.16,No.4「記憶障害」=「認知症」ではない Aさんの症状から加齢によるもの忘れか認知症かをどう判断するのかを考えてみましょう.Aさん(75歳女性)の家族が,かかりつけ薬局の薬剤師に「最近,薬をよくのみ忘れるのです.薬以外のことでも物忘れがあって.もう歳ですかね」と話されました.薬剤師が詳しく話を聞いてみたところ,Aさんは①その日の食事を食べたかどうかを忘れてしまう,② 料理や洗濯など普段やっていた作業の手順を忘れてしまう,③ 財布を忘れても自分が忘れっぽくなった自覚がなく,家族のせいにしてしまう,とのことでした.話を聞いた薬剤師は認知症の疑いがあるとのことで神経内科のクリニックを受診することを勧めました. 年をとれば,ほとんどのひとが記憶力は低下します.しかし,Aさんには,認知症に特徴的な記憶障害がみられていました(表1).その後,Aさんはクリニックで長谷川式簡易知能評価スケールの評価や脳画像検査などを行った結果,アルツハイマー型認知症と診断されました.事 例病気のイロハ「対応力」の基礎づくり1記憶障害加齢によるもの忘れ認知症障害の特徴行為や出来事の一部を忘れる行為そのものを忘れる記憶の再認ヒントにより思い出すことが多いヒントがあっても思い出すことは少ない障害の程度社会生活に支障はほとんどない社会生活に支障がある障害の頻度最近1?2年間で変化がない最近1?2年間で増えているその他の違い他の症状は目立たない他の支障もみられる今日の日付や今いる場所がどこかわからない話のつじつまを合わせようとする通帳や印鑑,財布などをしまった場所がわからない料理の味付けがおかしくなる知っている場所で道に迷う など表1 「加齢によるもの忘れ」と「認知症」の特徴