ブックタイトルRp.+レシピプラス 2017年秋号
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Rp.+レシピプラス 2017年秋号
068 Vol.16,No.4告では,一包化調剤が介護負担軽減に有効であることが示されています2).以上のことから筆者は,認知症であれば迷わず一包化を医師に提案しています.そのうえで,介護者がどの程度服薬管理に困っているかを確認し,その程度に合わせて,お薬カレンダーによる管理,日付の印字や分包紙の色分けを実施します.また,複数の医療機関から処方がある場合は,可能であれば1つの医療機関に集約するのが最適ですが,難しければ処方日や処方日数を合わせる,あるいは分割調剤を利用してすべての薬を一包化するようにしています. 次に,独居あるいは同居者に介護能力がない場合は,在宅医療への移行を考慮します.担当のケアマネジャーと協議し対応していますが,いない場合は地域包括支援センターに連絡し対応してもらいます.在宅医療となった場合,要介護度にもよりますが,いずれにしても一包化やお薬カレンダーによる管理は必須でしょう.また,ヘルパーや看護師が服薬時間帯に常に訪問できるわけではありませんので,その援助体制に合わせて服用回数や服用時間を考慮し医師に提案することも薬剤師として重要な仕事です.在宅医療になった際に,必ず残薬整理をすると思いますので,それに伴い不要な薬剤を中止し,患者や介護者の負担を軽減するとともに,ポリファーマシーの解消も視野に入れます.しかし,これらの支援を実施しても,服薬コンプライアンスがなかなか改善しないケースも見られます.その場合,われわれは服薬支援機器である「eお薬さんR」を使用しています(図2).まだ,使用例は少ないですが,服薬コンプライアンス不良例において改善が認められていること,介護者からの評判がよいことから,費用対効果を鑑みて導入を検討しています.服用記憶があいまいな事例への対応 認知症患者では,服用済でも「のんでいない」と訴えることも,認知症初期段階から生じる問題の1つです.外来対応で認知症患者の介護者から相談を受けることが多いかと思います.この問題の対処には介護者に認知症患者の「事実」に関する原則を知る必要があります.介護者にとって客観的な事実であっても,認知症患者にとっての事実とは異なる場合があり,「記憶になければ本人にとって事実ではない」ということです.この原則を理解して対処をしなければ,その都度事実確認で途方もない労力を要することとなり,介護疲れの要因となってしまいます.まずはこの原則を介護者に理解していただき,そのうえで次のような提案を行っています.● のんでないことを認めたうえで,「次のお薬は30分後にのみましょう」などと言い,時間を引き延ばし,服用欲求が落ち着くのを待つ● 薬の自己管理欲が強い場合や,どうしても服用欲求がおさまらない場合は,処方医と相談し乳糖などの偽薬や市販の整腸剤,サプリメントなど,多剤服用しても影響がないものを服用させる