ブックタイトルRp.+レシピプラス 2018年冬号

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概要

Rp.+レシピプラス 2018年冬号

 吸入デバイスは,操作するうえで障害になる身体所見はないかを確認し選択する必要があります.患者に最適な吸入デバイスを選択するための主なポイントを解説します.吸気流速は十分? 高齢者や重度の呼吸器疾患患者では吸気流速が低い可能性があります1).できるだけ吸入流速を測定し,患者に合った適切なデバイスを選択します(→p.70).吸入の同調はできる? 吸入の同調ができない場合は,吸気流速が保たれていれば,吸入の際に同調が不要なドライパウダー定量噴霧吸入器(dry powder inhaler;DPI)を選択します.加圧式定量噴霧吸入器(pressurized metered dose inhaler;pMDI)やスピリーバR レスピマットなどのソフトミスト吸入器(soft mist inhaler;SMI)を使用する場合は,同調ができなければ,スペーサー(p.71,図1)を使用します.日本アレルギー学会と日本小児アレルギー学会が推奨し,現在使用可能なスペーサーは,空気力学的ならびに臨床的検討がなされているエアロチャンバー・プラス,ボアテックスの2種類です.小児や,前歯の欠損や義歯の使用でマウスピースがしっかりとくわえられない場合は,マスク付きのものを使用するとよいでしょう.握力の低下,指関節の変形はない? 高齢者や女性など握力の低下がある場合,pMDIのボンベをうまく押せない,SMIの透明ケースをうまく回せない可能性があり,吸入補助器具(p.74,図6)の使用を勧めます.関節リウマチなど指関節に変形があれば,変形があっても操作しやすいデバイスの選択(エリプタ,ディスカス,pMDIなど)を考慮します.視力の低下はない? 高齢者や視覚障害がある場合,「カチッ」など音による操作確認が可能な薬剤(エリプタ,ディスカス,タービュヘイラーなど)を選択します.薬剤残量を示すカウンターが読めない場合は,ロックアウト機能がある製剤を選択する開始日または終了日の記入(残量確認シールの使用)や1本で何日分かを患者に伝える,同居者による協力を得るなどの方法があります.ジェヌエアは残量カウンターが「00」になるとボタンが押されたままロックされ完全には1 吸入デバイスの操作に支障をきたす身体所見を見逃さない 山口智江吸入剤の選択・指導・管理しくじらない!068 Vol.17,No.1