ブックタイトルRp.+レシピプラス 2018年春号

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概要

Rp.+レシピプラス 2018年春号

 一方,結節性の甲状腺腫で甲状腺ホルモンが高値を示すものがプランマー病や中毒性多発甲状腺結節,あるいは亜急性甲状腺炎になり,甲状腺機能が正常の場合には腺腫様甲状腺結節などの良性結節あるいはがん腫があてはまります. 以上のように,甲状腺の病気の診断には何よりも正しく甲状腺を診察,触診することが大切になるのです.さらなる確定診断に関しては,詳しくは検査の項目(→p.22)や各疾患の項目(→p.29~)に譲りますが,自己抗体の検査や超音波検査を行うことが重要です.甲状腺機能異常はいつ,だれに起こる? 検査技術の進歩により,以前より甲状腺疾患の診断精度が向上し,また高齢化社会を迎え,甲状腺疾患は従来考えられていたよりも高頻度であることが明らかになってきています. 甲状腺疾患の有病率や発症率(図1)については,明らかに女性に多く,なおかつ妊娠,出産という女性にとって重要なイベントに関連することが知られています.甲状腺中毒症は女性で0.2~0.5%程度にみられ,男性は女性の1/10程度と言われています1).甲状腺中毒症の主な疾患であるバセドウ病の発症率は0.04~0.08%程度で,男女比は1:4~7で女性に多く,出産後の発症率は200人に1人の割合と言われています2).また,甲状腺機能が正常もしくは低下を示す橋本病の頻度については,抗甲状腺自己抗体が検出される頻度から,50歳以上の女性では20%以上の人が陽性とされています3).明らかな甲状腺機能低下症の頻度は,日本甲状腺学会が行った調査で0.5~0.7%と報告されています4).潜在性機能異常? 機能異常について考える場合,注意点が1つあります.甲状腺ホルモンは正常なのに,甲状腺刺激ホルモン(TSH)に異常がある場合です.これらの病態を潜在性甲状腺機能異常と図1 甲状腺疾患の有病率・発症率● 明らかに女性が多い● 妊娠・出産に関連する● バセドウ病の発症率は0.04~0.08% 程度,1:4~7 で女性に多い出産後の発症率は0.5%● 抗甲状腺自己抗体は,50 歳以上の女性で20% 以上が陽性● 明らかな甲状腺機能低下症の発症率は0.5~0.7%Vol.17,No.2 017甲状腺機能と病気のキホン入門! 甲状腺疾患