ブックタイトルRp.+ 2018年夏号

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概要

Rp.+ 2018年夏号

急性期か慢性期かを見きわめる「褥瘡管理」はじめの一歩 ─治療方針の決定と治療環境の整備2創傷治癒過程を理解する急性創と慢性創の違い まず,一般的な創傷(急性創)の治癒過程を解説します.創の治癒は,連続した一連の流れで進んでいきますが,一般的に3つの特徴がある時期に分けて考えます.これを創傷治癒過程とよび,炎症期,増殖期,成熟期と分けています. これらの3つの時期は,実際にはそれぞれオーバーラップしています.このオーバーラップが小さければ創の治癒は早く,オーバーラップが大きければ慢性で難治性の創です(図1).治癒しない慢性の創では,炎症期・増殖期・成熟期が一つの創の中に混在している様子を観察できます.炎症期 受傷直後~1週間くらいまでの時期です.まず,血小板の作用による血餅形成などによって止血します.続いて損傷した創面や壊れた血小板から,炎症物質であるヒスタミンやプロスタグランジン,ブラジキニンなどが放出されて,炎症反応が起こります.炎症物質の刺激によって,毛細血管から血漿成分や血球成分が創面に漏れ出てきます.この結果,創部図1 創の状態と創傷治癒過程炎症期増殖期成熟期炎症期増殖期成熟期適切に治療された傷〈 急性創〉 慢性や難治性の傷〈 慢性創〉030 Vol.17,No.3