ブックタイトルRp.+ 2018年夏号

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概要

Rp.+ 2018年夏号

および創周囲は浮腫状になります. 同様に,傷んだ組織から出る成長因子の刺激でも炎症反応が起こります.創面には炎症性細胞である好中球やマクロファージが血管内から遊走してきます.これらの炎症性細胞は,細菌を殺し,異物を分解消化することで,創面を清浄化します(図2 a ).しかし,炎症期が持続すると創周囲の浮腫は消えず,また痛みや痒みも強くなります.長期にわたる炎症反応を認めるとき,必ず創の治癒を妨げる原因が残存しています.典型的な障害因子は,壊死組織や持続感染です.増殖期 炎症反応できれいになった創内には,大食細胞などから放出されたグロースファクターの刺激により線維芽細胞が遊走してきます.線維芽細胞はコラーゲン線維を作り,その足場に血管内皮細胞が増殖して毛細血管を作ります.このようにしてできた脆弱な赤い組織を肉芽とよび,肉芽で創面が覆われていくこの時期を増殖期とよびます(図2 b ).順調に治癒が進む創傷では,受傷後1週間~1ヵ月くらいが増殖期です. この時期でも炎症反応が持続していると,炎症細胞が出すタンパク分解酵素やサイトカC 成熟期褥瘡a 炎症期褥瘡 b 増殖期褥瘡図2 褥瘡の治癒過程Vol.17,No.3 031「褥瘡管理」はじめの一歩─治療方針の決定と治療環境の整備褥瘡管理と外用療法基礎固め